小さなビオトープでメダカを育てる。
自宅兼事務所の南側、軒の下でメダカを飼育しています。
メダカが安定して生活できる小さなビオトープを目指して、「底土、水生植物、石、流木」を入れ、「石巻貝」も一緒に暮らしています。
ビオトープは、「bio(命)」と「topos(場所)」というギリシア語を組み合わせた造語だそうで、魚や虫、多様な微生物など、さまざまな命あるものが共生している空間のことをいいます。
水生植物は、メダカや貝に酸素を供給します。貝は、メダカの食べ残しやフン、コケ、生体の死骸などを食べます。メダカや貝のフンは、植物やバクテリアの栄養に。底土や石、流木は、バクテリアの住みかとなり、ビオトープ環境を整えます。
メダカ飼育のための‘なんちゃってビオトープ’ではありますが、構成しているものそれぞれに役割があり、関わり合って、その空間をつくっています。
メダカが暮らすビオトープでは、日々、さまざまなドラマが生まれます。
メダカが繁殖期になりオス同士がお互いをけん制しあったり、小さな羽虫が卵を産み付けて、そこから孵った幼虫をメダカが食べたり、羽虫を狙って蜘蛛が巣をつくったり…。カエルも時々水の中を覗いています。
不思議なことに、同じ時期に生まれたメダカの幼魚にもやがて個体差が出てきます。大きめの幼魚は、小さめの幼魚を時々突いたりして、少し偉そうに泳いでいます。
そんな様子を観察するのが面白くて、出掛ける時や帰宅した時、ちょっとした隙間時間にビオトープの前に座り、エサやりをしたり水面のゴミを取ったりとお世話しつつ、癒やしの時を過ごしています。
暖かくなると、メダカは日々産卵します。
「え!また!」と、その繁殖力には何度も驚いてしまいます。
そんな強い繁殖力のためか、メダカを育てている方から「増えすぎて困る」と何度か聞いたことがあるのですが、卵を別の容器に隔離せずそのままにしていると、親メダカが卵や稚魚を食べてそれなりに淘汰され、ビオトープ空間の大きさに合った適当な数に落ち着くように思います。
卵もさることながら、稚魚が親メダカに食べられていると思うと少し胸が痛みますが、「適当な数に落ち着く」ということ…自然がなし得る神秘のようにも感じます。
我が家では、一定の数だけ卵を採取し、そこから孵った稚魚だけを別容器で育て、それ以外の卵は親メダカ容器の中で自然に任せています。
飼育容器は、地元のホームセンター「ジャンボエンチョー」で購入したプラ舟(60L)を使用しています。
ポイントは、容器の深さ。メダカ飼育に使われることの多い一般的なプラ舟は浅いものが多く、寒い季節、水底でほとんど動かずに過ごすメダカが心配で、深いものを探していました。
これなら、雪がちらつく寒い日に、たとえ水面に氷が張ったとしても水底まで凍ってしまうことはないだろうし、水量が多い分、水温の変化が緩やかになると思います。
メダカの外部飼育における寒さ対策には、容器上にポリカーボネート波板をのせたり、容器下に木をかませたりすることもオススメです。
ちなみに、このプラ舟は、ポーランドから輸入している(!)もののようで、ジャンボエンチョーは、国内でこの商品を取り扱っている唯一のホームセンターだと認識しています(独自調べ)。
我が家で育てているメダカの品種は、背中の青白い光沢が美しい「幹之メダカ」。以前、友人から譲ってもらったもので、派手過ぎず上品な姿がとても気に入っています。
暖かい時期には活発に動き回り、元気な姿を見せてくれるメダカたちも、寒くなると、底に沈み、ほとんど動かずに暮らします。お世話することが何もない(あまりしないほうがいい)冬の季節が寂しく感じられるほどで、メダカ飼育は、春の訪れが楽しみになる理由のひとつになっています。